高血圧は、血液が血管壁にかける圧力が持続的に高い状態を指し、放置すると心血管疾患や腎臓病などのリスクが増加します。以下に、高血圧に関する詳細な情報を項目別にまとめました。
1.高血圧とは
2.血圧の分類と診断基準
3.原因とリスク要因
4.症状
5.合併症
6.検査と診断
7.治療
1. 高血圧とは
高血圧とは、心臓から送り出される血液が血管壁に対して過度の圧力をかける状態を指します。この状態が続くと、血管や臓器に負担がかかり、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
2. 血圧の分類と診断基準
血圧は、収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)の2つの値で表されます。診察室での測定において、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。
家庭での血圧測定では、診察室での測定値よりも低めに出る傾向があるため、収縮期血圧が135mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上を高血圧の基準とします。
血圧の分類は以下の通りです:
分類 | 収縮期血圧 (mmHg) | 拡張期血圧 (mmHg) |
---|---|---|
正常血圧 | <120 | <80 |
正常高値血圧 | 120–129 | <80 |
高値血圧 | 130–139 | 80–89 |
Ⅰ度高血圧 | 140–159 | 90–99 |
Ⅱ度高血圧 | 160–179 | 100–109 |
Ⅲ度高血圧 | ≥180 | ≥110 |
(注:収縮期血圧または拡張期血圧のいずれかが該当すれば、その分類となります。)
3. 原因とリスク要因
高血圧の多くは、特定の原因を特定できない「本態性高血圧」であり、以下の要因が関与しています:
- 遺伝的要因:家族に高血圧の人がいる場合、リスクが高まります。
- 食塩の過剰摂取:日本人の高血圧の主な原因の一つです。
- 肥満:特に若年・中年の男性で、肥満が原因の高血圧が増加しています。
- 飲酒:過度のアルコール摂取は血圧を上昇させます。
- 運動不足:定期的な運動の欠如は高血圧のリスクを高めます。
- ストレス:慢性的なストレスは血圧上昇に寄与します。
一方、腎臓や内分泌系の疾患など、明確な原因が存在する「二次性高血圧」もあります。
4. 症状
高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれるように、多くの場合、自覚症状がありません。しかし、進行すると以下の症状が現れることがあります:
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 動悸
- 視力の低下
これらの症状が現れた場合、すでに血圧がかなり高くなっている可能性があります。
5. 合併症
高血圧を放置すると、以下の重大な合併症を引き起こすリスクが高まります:
- 脳卒中:脳内出血や脳梗塞のリスクが増加します。
- 心筋梗塞:冠動脈が狭窄・閉塞し、心筋への血流が途絶えることで発症します。
- 心不全:心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなります。
- 腎不全:腎臓の機能が低下し、老廃物の排出が困難になります。
- 大動脈瘤:大動脈の壁が膨らみ、破裂のリスクがあります。
これらの合併症は生命に関わるため、早期の発見と管理が重要です。
6. 検査と診断
高血圧の診断は、血圧測定によって行われます。診察室での測定値が収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。家庭での測定では、収縮期血圧135mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上が基準となります。
診断を確定するために、以下の検査が行われることがあります:
- 血液検査:腎機能や血糖値、脂質プロファイルを評価します。
- 尿検査:蛋白尿の有無を確認し、腎臓の状態を評価します。
- 心電図:心臓の電気的活動を記録し、心肥大や不整脈の有無を調べます。
- 眼底検査:眼底の血管状態を確認し、高血圧性網膜症の有無を評価します。
- 胸部X線検査:心臓の大きさや形状、肺の状態を確認します。
これらの検査結果を総合的に判断し、適切な治療方針を決定します。
7. 治療方法
高血圧の治療は、主に生活習慣の改善と薬物療法の2つに分けられます。
生活習慣の改善:
- 減塩:1日あたりの塩分摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。
- 適度な運動:ウォーキングなどの有酸素運動を1回10分以上、1日合計40分以上、週に4~5日行うことが推奨されています。
- 適正体重の維持:BMI(体格指数)を25未満に保つことが目標です。
- 節酒:アルコール摂取量を適度に制限します。
- 禁煙:喫煙は血圧を上昇させるため、禁煙が推奨されます。
薬物療法:
生活習慣の改善でも血圧が目標値に達しない場合、以下の薬物療法が検討されます:
- カルシウム拮抗薬:血管を拡張し、血圧を下げます。
- アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB):血管の収縮を抑制し、血圧を下げます。
- アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬):血管収縮物質の生成を抑え、血圧を下げます。
- β遮断薬:心拍数を減少させ、心臓の負担を軽減します。
- 利尿薬:体内の余分な水分と塩分を排出し、血圧を下げます。
など
薬物療法は、患者様の状態や合併症の有無に応じて適切な薬剤を選択します。治療中は定期的な血圧測定と医師の指導の下、適切な管理を行うことが重要です。
当クリニックでは、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適な治療プランを提供しております。高血圧が気になる方や生活習慣の改善についてご相談されたい方は、お気軽にご来院ください。